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ライセンス/譲渡 4
VernorUMG共に、「正当な形で著作物のコピーを得たものが、Perpetual Possession-永久的に所有権を得たかどうか」のみが、ライセンスとセールスを見極める鍵である、という考えが判決のベースとなっています。

このPerpetual Possessionに注目する、という考えのもとになったケースがありますので、まずはこちらを紹介します。

United States v. Wise, 550 F.2d 1180 (9th Cir. 1977)と、少し古いケースです。ケース名にUnited Statesと書かれているので分かるかと思いますが、被告の著作権侵害が刑事罰の対象となったケースでもあります。

UMGのケースに似ていますが、ある映画の作品プリントが、スタジオのV.I.P.sのみにプロモーション用に配られます。それを被告が勝手に配給してしまったところまでUMGのケースに似ているのですが、映画のプリントに、「一定期間のみ視聴、それ以降、プリントを返還する」という注意書きの存在が、UMGと決定的な違いとなります。これにより、裁判所は、これをセールスではなく、ライセンスであると判断。First Sales Doctrineは、適用されないとします。

ここで話を戻します。Wall Data v. Los Angeles County Sheriff's Dept., 447 F3d. 769 (9th Cir. 2006)という同じ第九巡回裁判所のケースでは、ソフトウェアの所有に関して、契約書に書かれた条項として、正当なコピーの購入者が、更にそのコピーを配給、譲渡する権利に制限が設けられている場合、その購入者はOwner(コピーの所有者)ではなく、Licenseeと見なすべき、と判断しています。要するに、セールスかライセンスかを見極める際には、Perpetual Possessionだけではなく、多くの要素を考慮するべきだと、しているわけです。

それが、VernorとUMGでは、再び30年前のケースに戻って、Perpetual Possession重視となったわけです。このセールスかライセンスか?、またはOwnerかLicenseeか?という問題に関する裁判所の定義は、今後更に洗練されていく事(べき)になると思います。ただし、今の段階で言えることは、ライセンス契約を締結するのであれば、このPerpetual Possessionかどうか、という点に注目することだと思います。「ライセンシーは、ライセンス期間後、コピーを返却する」、または最低でも、「ライセンサーが、コピーの所有を取り戻せる」といった、内容を契約書に含む事が重要かもしれません。
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【2009/08/21 07:25】 | Business Transaction | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
ライセンス/譲渡 3
UMG Recordings, Inc. v. Augusto, 558 F. Supp.2d 1164 (W.D. Wash. 2008)

Vernorケースに似ていますが、こちらも被告がeBayにて、UMG Recordingsが制作したCDを販売したことが問題の発端となりました。

問題のCDですが、自社のアーティストをプロモートする為に、UMGが音楽業界インサイダー向けに無料でで配ったものでした。
CDのジャケットには、「転売/リセール禁止」と書かれ、これはライセンスに当たると、UMGは主張します。対して、被告であるAugustoは、First Sale Doctrineを抗弁とし、著作権侵害にはならない、とします。

このケースでも、Vernorケース同様、裁判所は、「被告がCDを永久的に所有/保存可能である」点に注目します。無料で受け取ったCDを返却する必要性がないことから、裁判所は、結論として、これをセールスまたはギフトであると判断。プロモーション用の無料CDでしたが、これを被告がeBayにて販売する事は、First Sale Doctrineにより保護されている、という結果となりました。
【2009/08/19 02:20】 | Business Transaction | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
ライセンス/譲渡 2
Vernor v. Autodesk, Inc., 555 F. Supp.2d 1164 (W.D. Wash. 2008)

このケースでは、Autodeskのソフトウェアを、Timothy Vernorという人が何度か購入し、これをVernorがeBayにて販売していたことが問題となりました。
対してAutodeskは、Digital Millennium Copyright Act(デジタル・ミレニアム著作権法)による侵害除去請求(Take Down Notice)を行いますが、Vernorは、この販売はFirst Sale Doctrineにより、著作権侵害にはならない、と反論。

ソフトウェアを利用する為の、契約は「License Agreement(ライセンス契約)」と書かれていて、内容的には、"Nonexclusive, nontransferable license to use the enclosed program"や、"Prohibit the rent, lease, or transfer of all or part of any rights granted"と書かれ、サブライセンスや、レンタル、転売を、契約上禁止しています。

しかし、裁判所は、セールスかライセンスかを見極めるのに重要なのは、契約書に書かれている内容だけではなく、「Transferee(ソフトウェアを購入した被告)が、権利者から得たコピーを保有し続ける事ができるかどうか」、とします。要するに、問題となるソフトウェアが、将来的にAutodeskに戻ってくるかが重要な点で、もしそのコピーの所有権が戻らないのであれば、それはライセンスではなくセールス契約である、と判断したわけです。

結論として、被告であるVernorは、セールス契約によりソフトウェアを購入し、よって、First Sale Doctrineにより、eBayにてソフトウェアを販売する事は、著作権侵害に当たらないと判事されました。

【2009/08/18 06:26】 | Business Transaction | トラックバック(1) | コメント(0) | page top↑
ライセンス/譲渡
The IP Strategist (March 2009)に書かれた、「セールス(権利譲渡)」と「ライセンス」の違いについて、最近の裁判所(米国)がどのように差別化、または判断しているか、というトピックが大変興味深い内容でしたので、ご紹介したいと思います。

デジタル化が進むにつれ、音楽、出版、ソフトウェアなどが、従来のセールス(譲渡)としてはなく、ライセンスとして配給される事が増えてきました。
そのような環境の中、自分ではライセンス契約を交わしたつもりが、裁判所から、「セールスです」、と判断されたケースがあります。

ライセンスとセールスでは、かなりの違いがありますので、Vernor v. Autodesk, Inc., 555 F.Supp.2d 1164 (W.D. Wash. 2008)とUMG Recordings, Inc. v. Augusto, 558 F. Supp.2d 1055 (C.D. Cal. 2008)の2つの裁判所が、どういう経緯で、「ライセンスではなくセールス」という判断をしたのか、その目の付けどころを理解することが重要となります。

話を進める前に、この問題を考える上で重要となるFirst Sale Doctrineについて:

(17 U.S.C. section 109)
The owner of a particular copy or phonorecord lawfully made under this title, or any person authorized by such owner, is entitled, without the authority of the copyright owner, to sell or otherwise dispose of the possession of that copy or phonorecord.

米国著作権法106条により、著作権の支分権として、reproduction(複製権)、preparation of derivative works(二次的著作物作成権)、distribution(頒布権)、public performance(公衆実演権)、public display(展示権)、digital transmission performance(デジタル実演権)の6つの権利が挙げられるます。

上記の6つの権利のうち、特に著作権者の頒布権を、制限するものがFirst Sale Doctrine(頒布権の消尽)となります。この原則により、ある著作物のコピーやレコードの合法的所有者は、当該コピーまたはレコードについては、権利者の許諾を得なくとも、売却や処分をすることが認められています。要するに、この条項が、古本や古レコード市場を可能にするもので、また、図書館が購入した(またはギフト)本を、貸し出すことができるわけです。

このFirst Sale Doctrine、ソフトウェアなどの品質がコピーや使用によって劣化しないコンテンツにとっては、かなりの痛手となります。話を戻しますが、このFirst Sale Doctrineを避ける、または、許諾なしに売却や処分をされないようにする方法が、まさにライセンスなわけです。

セールスとは違い、ライセンシーはOwnerではない事(所有者は変わっていない)から、First Sale Doctrineは適用されません。デジタルコンテンツのライセンス配給が増える傾向には、こういう背景があったわけですが、これから見ていく上記の二つのケースは、そういう意味でも、コンテンツオーナー(弁護士にとっても)にとって、驚くべき判決だったと言えます。

【2009/08/15 07:22】 | Business Transaction | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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